初めてのロング  (2001.8.11〜 )
ステラマリス 中嶋

今年ステラマリスのオーナーになって初めてのロングクルーシングになりました。

前もって回航してあった淡輪から牟岐大島-由良港-徳島のロングコースは未経験の私にとって憧れと恐れと誘惑がいっぱい詰まった玉手箱のようなものでした。中学生の頃、ログブックを作って毎週のように一人で大阪府下の山々を登った時の気持ちを思い起させさせます 自然に対する予定ほど不確定なものはなく、細心の注意を払っていても起こりうるアクシデントに対応できるのだろうか? そんな心配をよそに11日(土)PM11:00淡輪を出港しました。

乗組員はテインジャラ三宅氏のクルー(吉村、片岡)私を合わせて3名 仮眠は2名ワッチの一人3時間交代、真っ暗な友水では追い風と逆潮で翻弄されワイルドジャイブの洗礼を受けたあと、心強かったのは、サポートを引き受けてくれていたピアグレスの安ちゃん軍団に張り付いて慎重に加太の瀬を抜けられた時でした。その後の緊張と緩和のギャップ、ランニングに近いながらも対地速度6ノット〜6.5ノットの安定した走り、いしままで自由に広がった海面、我を忘れる満天の月と星、ワイン片手に流れる曲はカラパナのミッドナイトセーリング、こんな経験をヨットマンが独り占めとはもったいないと思いつつ時間が流れ、蒲生田岬まで予定より早い約40分前、突然強烈な睡魔が襲ってきました。コバンザメ航法をクルーにまかせ熟睡の仮眠?携帯の呼音に動じない私を起してくれたのは仮眠20分後でした すぐさまコクピットに飛び上がるとおっと、伊島の岩礁が眼の前200M、もっと岸よりの航行を即す遙右舷のピアグレスの合図でした 伊島通過を目視できるAM6:00前にしたのも当然ながら 今にすれば笑い事で済まされるかどうか考えさせられる経験になりました。

その後、気が付けば目の前に広がる太平洋、こんなパノラマで見ることが出来たのは初めての経験で、また深いコバルトブルーの海には吸い込まれそうなくらいで、五感全てで感動しました。オートパイロットにラムラインを任せ残すところ15マイル地点で縮帆中、オーバーヒートのピー音 エンジンOFFでバウが風に立たず暫らくもたつきましたが 再度、エンジンONの上回転数を1500回転まで落としつつ快調にセーリング目指すは目前の龍宮城 牟岐大島 

以降次回に続く
続 初めてのロング

AM 8:00

牟岐大島を間近に確認した快調機帆走のステラマリスは、自分の一部に同化したように思え今までにない異質の満足感と優越感に浸り相好を崩す自分が恥ずかしくなるほどでした

AM 9:00 ピアグレスの入港アングルを確認し 切りたった両岸中央の水深を探りながら恐る恐る入っていくと、その先に入り江を取り巻く鬱蒼とした木々の根が斜面に食らいつくようにくねくねと立ち上がり異様な様相を見せていました 小さな湾内には3.4艇のクルーザーと2.3のテントサイトが骨休めをしていましたが、何とか小さな桟橋に横付けしたピアグレスへの横抱きでほっと、クルー全員と取り敢えず缶ビールで乾杯!

これがまたたまらなく美味い! 軽い食事と喉を潤した後の安堵からか清閑な周りの景色を落ち着いて眺めていると、水際から沈み込む白い砂浜が少しずつ深いグリンに変わり合間の岩色が更に深さを増して、また立ち上がる深緑の木々が海面に溶け込み全ての光が海底をかき回して立ち上がってくる様は永年忘れていた自然の美しさに畏敬の念を覚えるものでした 和むまもなく先ほどのオーバーヒートの原因でもあるセールドライブ吸水口のフジツボをやっつけに50センチもあるドライバーを取り出し海中で一仕事、海中から見る別世界の船影を楽しみながら心配事を片づけたあとも皆で海と戯れ散策三昧、砂浜にテンダーで陣を取ってくれた安東軍団のビーチマットの上でたくさんの馬糞ウニと小さなアワビ(水夫は安ちゃん)をみんなで分け合いそしてワインとビール、これだけで何もない自然の孤島で豪華なすばらしい食卓の出来上がり!必要とされる物がないシンプルな事柄のすばらしさにまた乾杯! いつの間にやら囲まれた岸壁に太陽も沈みこのまま孤島夜の宴までと考えていたのですが、クルーの意見もあり当湾特有のどでかい藪蚊の総攻撃を避けるため PM4:00 5マイル先出羽島まで一晩のねぐらをお借りしに行くことにしました 翌朝9:00ピアグレスと再度大島で合流しパラダイスを後にPM4:00出港そして日和佐港一泊、明朝6:30出港徳島へ 阿波レースの合間をすり抜けけんちょぴあへ、その晩全員で二つの桟敷を阿波踊りでうねり歩き、ヨットセー、ヨットセー、の掛け声高らかに開放感も快くまた疲れも最高潮に?PM12:00当日合流のデイブ藤本さんに船を預け彼の車で帰途に、クルー全員を送った後AM3:00ようやく現世に戻った気分で帰阪した次第です 日和佐以降の要約、割愛しておりますが、私にとってこの経験がヨットライフの1ページを飾るすばらしい出来事であったことには違いありません。 また、この紙面をお借りして、お世話になった出羽島の島民の皆様、ピアグレスの藤本さん安藤さん、そしてKYC三宅さんとそのクルー吉村さん、片岡さんの皆さんに改めて心よりお礼申し上げます。   合掌、
2001/10/15  ステラマリス  中嶋 記