2003年10月 まっちゃんの屋久島航海記 
BELLADONNA V 
1月23日OHYCのクラブ総会の日、寺尾会長から会員の皆様に泊地に関する情報を知らせる為に一昨年の屋久島へ航海記を書くように要請された。1年3ヶ月も前の事だけれど、ご参考になればと書いてみる事にする。
メンバーは3人である。一人はテッド・ロス。ドイツ出身のオーストラリア人の彼は約12年前、関西空港開港記念に行われた、パンパシフィックヨットレースにブリスベンから関空までのレグに自分のヨットでキャプテンとして出場したヨットマン。68歳。ソロでオーストラリア一周したこともあるベテラン。二人目は黒田氏。関西大学附属関大一高及び関大ヨット部出身で、北港1丁目にヤマハマイレディ、サザンクロス号を置いている。ソロで洲本まで航海する様な62歳である。この二人の大ベテランに助けられてクルージングに出かけられる幸せな小生は72歳であった。
では、いよいよ出帆する事にしよう。出帆は英語ではto set sailと云う。何と響きの良い言葉ではありませんか。
2003年10月8日

08:30 曇 N 5m/s 平水、安東さん(アンチャン)、山本さんの見送りを受けて出帆。

13:00 友が島水道通過。 NEW 2m/s 曇り

18:00 伊島通過、晴れ W 3m/s

10月9日

01:00 室戸岬通過、N 5m/s 波高3〜4m。黒潮を避ける為に270度へ変針。

12:00 土佐清水の北にある以布利漁港入港。漁協や漁業従事の人々は皆親切。漁港で給油。この港は天保山の水族館のジンベイザメを供給している所で、今もスペアのサメが飼われている。係留場所を指定していただいたが風呂は清水までタクシーで20分くらい行かないと無いとの事で清水に14時に向かうことにする。港を出ると漁網が多く夜は危険である。清水港は半島の両側に漁港がある。西側は旧港。平成8年4月に四国一周した時は、東側に入ったが風呂屋や食堂へは15分くらい歩かなければならない。

17:30 清水旧港入港。リタイアいた漁師が数人集まってきてくれとても友好的で遠洋漁業の経験者も多くいて、屋久島へ向かうなら、波と潮を考慮して宮崎に向かってから岸に沿って南下する様にアドバイスされる。船から5分くらいの風呂屋に向かう。入浴後、前にも行った小川屋食堂へ。刺身定食を黒田さんと、テッドは豚カツ定食。 

10月10日

10:30 清水港(旧港)発。晴E5m/s 波高3m

昨日の漁師さん達から受けたアドバイスにより宮崎の方向へ向かうことにする。風8m/sに上がり波高4m Eの風の為、ローリング激しく清水から23NMの豊後水道の沖の島に入ることにする。島の南端、櫛ヶ鼻を西へ廻り込んだ白岩岬を通りこえた所に母島港がある。
15:10沖ノ島母島港着 北と西が山でガードされた静かな漁港。奥の内港は小型漁船が20隻ほど、外側の外港はガラガラで遊漁船が1隻いるだけ。高知県宿毛市から通船が来ているが人口が少ない様子。別荘が山手に建ち並んでいる。平成8年に四国一周した時にも来た事があるがあまり変わっていない様子。旅館で入浴(500円)し、食事をする。もう一軒宿がある。四国から釣り客が来る島である。
10月11日

07:15 沖ノ島発。小雨が降っていたが出港時止む。天気図(11日9時の発表のもの)によると、九州南部に低気圧があり、前線が九州・本州南部に真っ直ぐ伸びている。風力3〜4である。

曇NW5m/s波高50cm。清水の漁師さんたちのアドバイスに従い西へ向かい宮崎の岸沿いに南下することにする。

13:00 雨激しくNW8m/s、波高4m〜5m。波が悪いので宮崎のどこかに入港するべく海図で細島港(島ではありません)を見つけ入港することにする。延岡市の南、日向市の北、門川町(カドカワチョウ)の門川湾にある門川漁港に入ることにする。ところがである。港の方向に岩礁や小島が多数あり、波が砕け、しぶきが上がっているのだ。VHFラジオで海上保安庁を呼ぶ。鹿児島県保安が出て、門川の保安部へ振ってくれた。自船の緯度、経度を報告し、何度に進めばよいかと尋ねた。保安部の人が海図に枇杷島(びわじま)があるでしょう。その北側を通れと云う。又又、ところがである。細かい海図は持っていないのだ。宮崎に寄る気は無かったので、九州や屋久島、種子島の細密なものは沢山持っていたが、今航海している場所のものは「東京湾至鹿児島湾」の1,200,000分の1の荒いものなのだ。私の海図には枇杷島など書いてませんよと返事すると、海図無しで航海しないでくださいと叱られる。それからが大変であった。電話番号を聞かれ、家へは毎日連絡しているかとか、出港したら連絡しなさいとか、どこまで行くの

かとか等など。鹿児島までの各支部の電話番号を教えてくれて、何かあれば連絡しなさいとか、海図を上げるから事務所へ来なさいとか。テッドは貰いに行こうと云ったが面倒くさいのでついに貰いに行かなかったけれど。漁港は2箇所あるようだけれど、細島港に入ってすぐ右手の漁業協同組合の前に行く。明日明後日は日曜、祭日で漁港は休みだとの事。ここも漁師さん達はとても親切である。海上保安部では向い側の排水塔の前ならば2〜3日は置いても大丈夫だといわれた。

15:00アロングサイドにてゆったり係留させてもらう。海は荒れているがここは全く揺れない。港から徒歩7分くらいの丘の上にかどかわ温泉「心の杜(こころのもり)」という露天風呂もある大温泉がある。スポーツ施設,大食堂、宿泊施設もあり研修合宿もできる。高校生がラグビーの合宿をしていた。女子中学生も合宿していて食堂はとても賑わっていた。露天風呂で見知らぬ人と話をする。大阪からヨットで来ていることに興味をもたれた。風呂から上がると先ほど風呂であった人がコーヒー牛乳を3本置いていってくれたことを女性従業員の方から聞き、ありがたく頂く。大雨の中を船に辿りつきゆっくり休息。
10月12日
細島港滞在。低気圧北上中、前線九州中部にあり。風雨特に強い。トイレのシンクの流れが悪いので分解。真鍮のトラップ部分が固着していた。テッドが直そうとして工具を探していたところ、漁師さんの一人が親切に道具、設備を貸してくれた。彼はトラック、貨物車用のコンテナにぎっしりいっぱい工具類を持っていた。聞けば大阪の工場でエンジニアをしていたとの事。定年後故郷に帰ってから漁師をしているとの事。地元の人たち皆とても親切で海図をくれたりコインランドリーに車で案内してくれる人もいた。コインランドリーではビニール袋をあげるから洗濯物が仕上がったら入れなさいといってくれる老婦人もいた。今夜も「心の杜」にて夕食。 
10月13日

06:10 細島発。休業のはずの漁師さんたちが出港していく。こちらもあわててもやいを解く。0800頃、海上保安庁細島支部より電話があり今どこに居るのか聞かれる。出港して屋久島に向っていると答えると十分注意して行って下さいとの事。誠に親切である。実は出港直後に電話したがつながらなかったのである。

15:00 小雨 W6m/s うねり有り。31°36N、131°32E 油津の沖を直進。宮崎の高い塔が見える。一度は宮崎へも行ってみたい。

16:00 SWS 36Knot、18〜19m/sの強風、縮帆する。

18:00 N5m/s31°29′N131°31′、230′へ転針

19:30 31°21′N、131°25′E 都井岬沖通過。

2時方向山手にライトが多くともっている。何だろう。住宅群か。

10月14日

02:25 30°48′N、130°58′E 種子島、馬毛島水道へ向う。

08:00屋久島北端一湊(イツソウ)港の前に来た。バンクーバーから23feetのヨットで南太平洋経由で日本へソロで来たカナダ人の友人コリンが紹介してくれた屋久島在住の岡さんに電話したところ一湊は奥深い港で近くに温泉もありますが街には遠いので、西へ10Kmの宮之浦の方が良いだろうとの事。岡さん父子が出迎えてくれる中、漁港のポンツーンに係留させてもらう。鹿児島からのフェリーも外港に着岸する大きな港で、漁船が 20隻位、ヨットも1隻舫っていた。陸に向って右にシーサイドホテル屋久島。立派なホテルである。ただし活気が無い。商売気はあまり無い様子。左側には大きなパチンコ屋がある。ひなびた素朴な街にはちょっと不似合い。民家の門に民宿、レンタカー屋が数軒ある。周囲80Km強の島に1936mの宮之浦岳を始め多くの山々が連なる特異な型の島である。平地が殆ど無い。雨が多く滝や川が多い。漁から帰ってきた漁師さんにサバを2匹頂く。シーサイドホテルにて入浴。1050円。コインランドリーにて洗濯500円。テッドはマッサージを受ける。2000円。水・油を補給。リッター当たり103.40円物価は非常に高い。漁港前に大きなスーパー有り。ワイン類は大阪の倍。平地が無いから農産物は殆どが鹿児島から来るとの事。夜は港から5分の食堂にて刺身定食。店名は忘れたが、港から東へ約5分左側にある、お勧めの日本料理店。店内も清潔です。
10月15日

岡さんの息子さんが車で迎えに来てくれ、9時に屋久杉ランドへ向う。途中岡さんの家へ。高度200m位の高台に2階建ての家が2軒ある。別棟の家の前にヨットがころがしてある。岡さんが世界一周するつもりで自作した舟である。今乗っているのは家から10分位の島の東岸の安房港に舫ってある。安房から西へ40分屋久杉ランドに向う。屋久杉自生林の中に遊歩道があり、清流につり橋がかかり険しい山道もあり、樹齢2000年クラスの杉が多く見られる。屋久島は降雨があり、山が高く、急峻な地形のため、樹木の栄養になる落葉が流され樹木はゆっくり育つのだという。同じ理由で水は不味い。地中に滞留しないため、ミネラル分を含まないのである。実際宮之浦港で舟に給水した時、飲んでみたが美味しくなかった。島には野生の猿や鹿も沢山いる。約1時間屋久杉ランドを歩いた後、ジャングルの中に自生するガジュマルを見物した。南の島から流れついたのが繁茂したのだという。昼食は道端の1軒屋の食堂で、黒豚のトンカツを食べる。黒豚も米も鹿児島から輸送されている。宮之浦には大きなスーパーもあるが商品は割高。ワインも売っていたが大阪で700円位の物で1000円である。軽油は土佐清水がリッター当たり88円、屋久島は103.4円。

昼食後海中温泉を楽しむ。湯の温度もちょうど良い。無料である。満潮のときは泥水が流入し使えない。混浴であるが女性はゼロ。コーヒーを飲みたくなり西宮出身の人が経営しているパン屋さん兼コーヒーショップへ行く。京都出身の移住者の夫婦に会う。夜、ヨットに訪ねて来られた。手品を見せてくれたりハーモニカを演奏してくれた。テッドも吹いたがとても上手である。
10月16日

岡さんの息子の見送りを受けて08:30屋久島出発 晴れN10m/s 波高3m、120°へ種子島の南端を越えて、北東に向う。11:20種子島門倉崎通過 北風が島のブランケットで波高1mに落ち、快走した。

12:00 人工衛星の大崎射場を通過。
10月17日

快晴、波高高く疲労激しい為log bookに記入していない。黒潮に乗ったはずだがあまり押してもらっていない。普段2500回転で6.3Knotで走っているが、6.8Knot位である。夜紀伊水道の入り口にさしかかった時8.6〜9.7Knotで走った。黒潮の流れは年によって変わるようで、出港前に山本さんに貰った海流図で黒潮に乗ったつもりであったが。

10月18日
04:20 室戸岬と潮岬の中間点を通過し徳島を目指すが風波が強まり、Nの風25〜28Knotに上がり、波高も2mをこえたので、伊島へ入港。13:30伊島着。漁村はひっそりと静まり返っていて人通りも無い。風呂に入りたくて2軒の旅館を訪ねるが2軒とも休みであった。新港に入ったが夏とは違って他にヨットは入港していない。夏や5月の連休はいつも3〜4艇は入っているが。
10月19日

08:00 伊島発 晴 N20Knot 波高1.5〜2m。風向悪く機帆走でも4.7Knot。

14:30 友水通過、快晴 N18Knot Boat speed 7.2 Knot

20:00 北港着 10月8日から11日間にわたる楽しい航海が出来たのはひたすら72歳のOld Salt(老齢の水夫)を助けれたベテランのセーラーTedと黒田氏のお蔭である。紙上を借りて厚くお礼申し上げます。

クルージングメモ:帆走距離:780N.M.消費軽油:494L ¥44.197-
(ベラドンナ:松本記)